水管理と草刈りの日々 斎川

地域と家族 お互いあっての今

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6月初旬、斎川。生産者の中で一番広い経営面積を抱える太齋さんも草刈りに追われていた。20ヘクタールを超える田んぼには「相対取引」の分も含まれ、息子の雄一さんが農業に従事するようになってからは親子2人、繁忙期は知り合いに頼みながら稼働させてきた。ここも高齢者や農業から手を引く家が多い地区、親子代々米を作り続ける農家は一握りだ。

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手間も時間もかかる草刈り、父の元雄さんも丁寧に機械を進めていた

「バタバタだった去年のことは覚えてない」

草刈りの手を休め、息子の雄一さんが話し始めた。一家の大黒柱である父親が脳梗塞で倒れ、直後に祖父が亡くなる。時は田植えの頃、何もかもが一気に雄一さんに押し寄せた。

脱サラして家業を継ぐと決めてからまだ10年足らず。頑固な父親の背中を見て、広大な水田を前に農業を肌で覚えている最中だった。病後の父にリハビリがてらと作業をさせるも、前のようにはいかない不安も拭えなかった日々、忙殺されどん底のような一年だったと。

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家族と地域を支える米づくりへの転身

農業一筋でこの斎川で生きてきた父親への尊敬は、雄一さんの言葉の節々から伝わった。家族経営の農業の厳しさは毎日身にしみる。あのどん底の一年を支えたのは、祖父にも、そして自分にも生きる力を与えた4人の子供たちだった。

「今がチャンスと思って」

かたわらでは、笑顔で話しかけてくれた父の元雄さんが草刈機を動かしていた。

「親父は会合とか嫌いだけど、一緒にやってる以上はさ……」

元雄さんをフォローするように、このプロジェクトで雄一さんが動き出している。ササニシキは作りたかった米、どこまでできるか、雄一さんにとっても新たな挑戦の一年だ。

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水田の中を一日中電車や新幹線が行き交う斎川、畦から見える景色を子供たちも喜ぶという。雄一さんの好きなものが、家業のとなりを北へ南へと走っていく。

父親の背中を見ながら農家で育った若き担い手、地域にとっても心強い存在だ。古くなった機械をなんとか見繕って、修理して、お金がかかると頭を抱え、広大な水田と向き合っている。

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